うさぎは寂しくても死なない

備忘録を兼ねたブログ お酒(特にウイスキー)のことについてよく書きます

Silence Bar その2

前回の続きです、飲んだボトルを備忘録がてらまとめます。

多分長くなります。

 

1日目

まず「オールドのシェリー樽が感じられるボトル」でお願いしたらこれが来ました。

 

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左:スプリングバンク 青アザミ 15年 1970-80年代蒸留、90年代流通

右:グレンドロナック 15年 1980年代蒸留?1990年代後半流通?

 

どちらもジャムのような濃密な甘い香りが漂い、今のシェリー樽との違いを見せつけられるボトルでした。特にスプリングバンクは、それでいて現行品に共通する麦芽香、塩気もあって気に入りました。

スプリングバンクはお気に入り蒸留所の一つなので、個別記事にするかもしれません。

 

次に「クライヌリッシュが好きなので、ブローラ飲んでみたいんですけど…」と頼んだら、クライヌリッシュとブローラがどっちも来ました。

しかも同じボトラー、同じ熟成年数。

流石マスターだなと思いました。

 

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左:クライヌリッシュ lombards Jewels of Highlands 1982-97

右:ブローラであること以外は上に同じ

 

正直2日間通して最も印象に残ったのはこの2つかもしれません、これは別記事で書きます。

 

2日目

飲んではないですが、マスターのコレクションの中でも特に貴重なものを見せてくれました。

 

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左:サントリー プレジデントチョイス

右:マッカラン 1876(詳細不明)

 

いやなに1876って。19世紀ですよ。

日本は明治維新。世界だとやっとドイツ帝国が出来たくらい。

海外のバイヤーが交渉に幾度となく訪れているみたいですが、マスター曰く「これは日本から出すつもりはない。」とのこと。

未開栓ですが、開く日はくるのでしょうか。

 

それから、まずはスタンダード品のおいしいやつを。


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左:ポートシャーロット スコティッシュバーレイ

右:ラガヴーリン 8年

 

これはどちらも飲んだことがあったのですが、安定して美味しいですね。

ピートがしっかりときいてます。

 

次は「オールドのアイラを」とお願いしました。


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左:アードベッグ 10年 1980年代流通

右:ラフロイグ 10年 アンブレッデット表記 アメリカ向け 1980年代流通

 

80年代のスタンダードボトルです。

いやほんとに、この味がスタンダードだった時代がうらやましいです。

現行品は薬品ぽいピート香が強調されていますが、この時代はその感じはありつつも、しっかりとそれに負けない麦芽の旨味があるんですよね。

瓶熟を経て落ち着いてきているのもあって、やや粘性のあるオイリーな口当たりからまろやかに風味が広がっていくのは、筆舌に尽くしがたいです。

 

次の2つは隣の常連客が頼んだものを分けてもらいました。


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上:アルマニャック バロン ド ラストラック(?)1949

詳細は出てきませんでしたが、とても古いことだけはわかります。

 

アルマニャックの方が線は細いものの、非常に芳香な香りと味で、のどにひっかかるくどさ、渋みは一切ない透き通った味がします。

マスター曰く、「アルマニャックはシングルモルトに通ずるものがある」んだそうです。

ルイ13世の方が香りも味も大胆で、どかんと旨味がきますね。こちらも非常においしいです。

余談ですが、ルイ13世バカラグラス割ったらどうしようと終始ひやひやしてました…

 

常連客とマスターと僕らしかいなくなって話も弾みます。

というかマスター酒飲んでます。まあマスターのボトルなのでどうしようが勝手なのですが…笑

 

そこでもう一杯。島のオールドウイスキーでチョイスしてもらいました。


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左:タリスカーTDラベル 8年 1960-70年代流通

右:スキャパ 8年 GM セスタンテ向け 1980年代流通

 

これはオールド詳しくない僕でも知ってます。タリスカーのTDラベル。

60-70年代に流通した、旨さ伝説級のボトルです。

葉巻を思わせる心地よいピートに信じられないボディの厚い麦芽、複雑な果実味、すべてを調和する塩気。評判通り、評判以上においしい…

スキャパも、今の線が細い花の香りがするお上品さはなく、厚い麦芽味と、はちみつの甘味でぶん殴るような、大味だけどおいしい面白いボトルでした。

 

ここでマスターから差し入れ。


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グレンリベット GM スミスラベル 1949 90年代ボトリング

 

やけに1949のボトルが多いと思ったらマスターの生まれ年なんですね。

スペックでいうと40-50年熟成のいわゆる超熟ってやつです。

チェリー・紅茶のような複雑で妖艶な香りから始まり、味は非常にフレッシュな果汁感ががあります。後味はかなりドライで、ここら辺は現行にも表れてる部分だなあと。

 

ラストはマスターの名を冠した本当にここでしか飲めないボトル。


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ブッシュミルズ 12年 丸岡さん向け(なんて書けばいいのかわからん笑)

マスターの丸岡さんは、ここのアンバサダーを務めていたようで、その一環としていただいたそうです。

素朴な麦芽風味に、干し草やレモンを思わせるオーク香で優しい味わいでした。

 

ぶっちゃけボトル10万とかをガンガン飲んでたので相当お会計ビビってたのですが、かなり割安でした。割安なだけなので相当かかってますが。

 

常連客が、「ここは日本一高いバーという人もいるし、日本一安いバーという人もいる」と言ってましたが、意味が分かりました。

例えばタリスカー8年TDラベル。知識がなければ、「なぜ、たかが8年のウイスキーが1ショット7000円*1」となるかもしれません。

反対に、ボトルが十数万することを知っていれば、お得だなぁと思うことでしょう。

 

長くなってしまいましたが、非常においしかっただけでなく、オールドという新たな道を見せてくれたSilence Bar、マスターの丸岡さんには感謝しかありません。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

*1:あくまで例であって本当の値段は知りません

Silence Bar

祖父母の家に行くついでに、全国的に有名な伝説のBAR「

」に行ってきました。

 

香川県丸亀市の港のほど近くにあるのですが、なかなか見つからなくて苦労しました。

それもそのはず。だって見た目倉庫なんだもん

 

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見た目も奇抜で、海に一番近いBARなんてマスターもおっしゃってましたが、有名なのはそこじゃないんです。

 

この倉庫の入り口付近は改装してBARになっているのですが、奥はそのままウイスキー保管倉庫になっています。

「ここにないお酒は日本全国どこに探してもない」といわれるほど、豊富なお酒のストック(特にオールドボトル)が人気の理由なんですね。

 

そのお酒を求めて、全国各地からお客が来るだけでなく、よそのバーテンダーさんも勉強に来たり、芸能人もお忍びでくるそうです。

福山雅治さん、香川照之さん、片岡愛之助さんは常連で、作家の伊集院静さんとはお前と呼び合う仲なんだとか。

 

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中に入ると薄暗い店内にジャズがかかっており、バックバーにはお酒がぎっしり!

表に出ているものだけでも、見たことのないボトルばかりで非常に興味をそそられます。

 

実際に飲んだものは別記事にまとめますが、夢のような時間でした。

 

2日訪れたのですが、マスターが「親子で酒飲めるんはええなぁ」と、僕たちのことを気に入ってくれて、店を閉めたあと僕・父親・マスター・常連客で、マスターの息子さんが開いているBARに行き一緒に飲みました。

今度そこが閉まると息子さん夫婦も一緒に別のバーに流れて飲んで…いやマスターもう70なのにどんだけ酒飲むんだよ(僕は翌日頭痛かったです)。

とてもよくしてもらって大満足だったのですが、マスターの丸岡さんと写真を撮り忘れたのだけが非常に心残りです。

 

場所的にはなかなか行きにくい所にありますし、マスターも年なのでボトル探すの手間取ったり、耳が遠くなったりもしています。

けれども、海の近くの静かなBARで、年を重ねたマスターと共に長い年月を経たお酒を楽しむ、これはなにものにも代えがたい体験なのではないかと思います。

 

次があるかわかりませんが、機会があったらまた訪れたいと思います。